A.木造住宅と現場管理 15.施工技能者管理と法制度  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
3.指揮命令とは?

   それでは、指揮命令とは何を指すのでしょうか。昭和27年に労働省が提示した見解によれば、以下のようになります。これは、本省からの通達であるが、既にこの時代に指揮命令の解釈が問題になっていたことがわかります。
 なぜ、指揮命令が問題なのかというと、法律で禁止されている労働者の供給や請負であるかのように見せかけた偽装請負が、後を絶たなかったからです。
 建設業では、今日になっても、この問題が存在していることになります。指揮命令とは、「労働者を指揮監督する」もので、作業上の監督とは、「仕事の割付け、順序、緩急の調整、技術指導等」だとしています。
 逆に、請負とは、請け負った側が「自ら指揮監督するもの」でありますので、注文主の側が過度に介入してはいけないというのが行政の側の解釈です。ただし、どの程度介入すれば問題になるかは、明確な基準がなく、難しい問題です。
 因みに、この文書の最後にある「職発」とは、職業安定局長名通達のことで、「通達」とは、行政機関内部において、上級機関が下級機関に対し、指揮監督関係に基づきその機関の所掌事務について示達するものを指します。「職発」の場合は、本省の局長が、都道府県の労働局に対して発するのが一般で、要は、実際に取り締まりや指導を行う都道府県労働局に対する指示書、正に、指揮監督の文書なのです。