A.木造住宅と現場管理 10.緊結金物・金物工法  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
16.金物工法について



   金物工法とは、軸組構法の伝統的な仕口・継手の代わりに、梁受け金物、継手金物及びほぞパイプなどの構造金物を使用する工法です。構造金物と柱や横架材などの部材は、主に六角ボルトやドリフトピンが使われています。構造金物は、鉛直荷重や水平荷重に対する応力負担を接合具をとおして受け持つこととになります。構造金物の使用上の注意事項は以下のとおりです。
@マニュアルの確認
 いずれのメーカーの構造金物も、設計・施工マニュアルが存在します。そのマニュアルの内容について、A以降のポイントを確認してください。
A構造金物の適用範囲の確認
 図1に示すような構造金物の使用上の禁止事項や注意事項を明記した適用範囲を確認します。ひとつの構造金物で、全ての接合部をまかなえるものはありません。構造金物で一番危険なのが、誤った設計・施工を行ってしまうことです。
B構造金物の選択方法
梁受け金物であれば、梁せいやスパンに応じた選択方法、ほぞパイプであれば、引抜力に応じた選択方法が決められています。何れの金物には、耐力が表示されていますので、N値計算などの計算結果から、構造金物を選択します。
C接合具の確認
 構造金物を留める六角ボルト、ドリフトピン及び座金等の接合具は、構造金物とセットで供給されてくるのが一般的です。しかし、セットでなければ、必要な接合具の仕様が明記されているかを確認します。六角ボルトは、図2に示すように、同じねじ規格であっても胴径がネジの外径のものと谷径のものがあり、間違えると所定の耐力が得られません。
D補強金物等との組み合わせ
 構造金物は、他の補強金物である筋かいプレートや火打金物等の接合具、構造用合板や石膏ボード等を張るくぎが干渉することもあるので、接合部のディテールを図面で確認する。