A.木造住宅と現場管理 10.緊結金物・金物工法  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
1.接合部の構造に関する規程と仕様

  木造建築物の構造耐力上主要な部分である継手または仕口は、建築基準法施行令第47条の規程を遵守しなければなりません。構造耐力上主要な部分とは、建築基準法施行令第1条第三項に規定されている基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材など)、床版、屋根版または横架材(はり、桁など)に該当する部分です。また、当該接合部は、その部分の存在応力を伝えるように緊結する必要があります。存在応力とは、一般に、建物の固定荷重や積載荷重および地震や風などの外力によって生じる応力です。この応力は、設計する木造建築物の規模、建設地域などにより異なるため、基本的に許容応力度計算を行って存在応力を算定する必要があります。しかしながら、一般に2階建て以下の木造住宅は許容応力度設計を行いませんので、従来は、住宅金融公庫(現、住宅支援機構)の木造住宅工事共通仕様書が推奨する仕様により、ボルトやかすがいなどの接合金物を用いて、一律的に接合部を補強していました。  
国土交通省告示第1460号は、令第47条を補完する目的として平成12年に施行された法律です。当該告示は、筋かい端部と耐力壁が取り付く柱の柱脚・柱頭の構造方法を具体的に定めています。特に耐力壁が取り付く柱の柱脚・柱頭の構造方法は詳細に規定されており、使用する接合金物の仕様の多くは木造住宅工事共通仕様書が推奨する仕様より強固な接合仕様となっています。