A.木造住宅と現場管理 09.木質材料の基礎  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
5.木材に含まれる水と乾燥、強度との関係

  住宅に使用する木材、特に構造材や室内に現しになる部材には乾燥が必要不可欠です。なぜ乾燥が必要なのでしょうか。  
木材に含まれる水分には「自由水」と「結合水」の2つがあります。自由水は木材の細胞と細胞の隙間を満たしている水で、木材の強度や変形には影響を及ぼしません。一方結合水は木材の細胞の中に存在している水であり、細胞内の成分と密接に結合しています。  
下の図を御覧ください。木材は乾燥し始めるとまず自由水がなくなっていきますが、その段階ではまだ変形は起こらず、強度の変化もありません。自由水がなくなったところを「繊維飽和点」といいます(日本の場合は含水率約30%)。そこからさらに乾燥が進むと細胞の中の結合水がなくなっていき、その過程で木材が収縮・変形し、その収縮が進むにつれて強度が上がっていくのです。JAS(日本農林規格)では、含水率20%以下であればその後の変形が少ないとされています。
以上より、木材を乾燥させる大きな目的は次の2点であるといえます。
@ 施工後に乾燥による大きな変形や割れを起こさないようにするため
A 乾燥によって木材の強度を引き出すため