A.木造住宅と現場管理 04.現場のリスク管理  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
5.労働災害の発生理由

   この状況を作業分類別に同団体が平成22年に公表した「平成21年 低層住宅の労働災害発生状況報告書」では「発生率1位が建方工事(25.4%)及び2位の内部造作工事(17.5%)の合計が、前年と比べ4.5%減少したが全体の約4割を占める」とあります。建方作業は墜落等のリスクが高い労災に繋がります。高所安全作業のためには仮設計画等による安全性の確保検討が不可欠です。最近では、厚労省は労働基準監督署を通じて足場先行工法に関するガイドラインを作成し、建て方時の災害防止を訴えています。これを見れば「施工計画」の意味などもよく理解することができます。因みにこうした労働災害に関するガイドライン等は労働基準監督署に行けば誰でも入手できるので、現場監督は年に一度は訪れて安全教育の新しい話題を見つけておくことも必要です。
 次いで第2位が内部造作です。これは意外と思われますが「減少しているが、脚立や工具などを用いた事故多発作業も多いため、室内と言えども気を緩めることのないように基本的な安全作業の励行が大切」と記しています。これらは、室内作業に入るとヘルメットの着用や造作工事時の作業時間の切れ目毎の清掃や整理整頓の問題とも絡んできます。
 現場監督は、そうした気の緩み等に目配りを行い、未然に災害を防ぐことでリスクを最小限にしていくことが役割となります。