A.木造住宅と現場管理 02.工務店と生産組織  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
4.大工の位置づけ

   工務店の基本構造部分はプロダクト機能です。ここが脆弱ではどのようにプロデュース部門が機能しようとも、顧客は離れていきます。そして、このプロダクト部門の中心となるのが大工であり、統括するのが現場監督です。
 現在、プレカット率が90%と言われる時代にあり、プレカットが不可能な加工もプレカット工場内の大工が特殊加工を担うという状況にあります。こうしたプレカットの普及によって、木造住宅市場への参入障壁はさらに低くなりつつあり、大工の技能的付加価値も低下していると言われていますが、やはり大工の持つ最後の調整力という技能は大変重要な部分です。まして、今後リフォームなどの受注を本格化しようとした場合、大工の技能は不可欠です。
 この大工の処遇をどうするのか(調達(出面)、常傭、坪請け、社員)、そしてその処遇によって大工たちが持続的にその工務店に定着してくれるのか、といったことが工務店持続の鍵になってきます。高齢化が進む大工の世界での後継大工の育成は経営者だけの課題ではありません。自社の施工ルール、仕上げの特徴などを知っている大工を育てるのも現場監督の仕事の一つにもなっています。