A.木造住宅と現場管理 01.木造住宅の現場管理  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
2.増加した現場管理のための仕事

   一連のそして矢継ぎ早の変化に対応しなくては工務店としてこの木造注文住宅という市場に生き残ることが難しくなってきました。かつては、違反建築が当たり前という意識がありましたが、現在では検査済証を受けることが当たり前になっています。
 このような法的な変化は現場での管理を大きく変化させました。
 基本的には「検査」への対応が増加したといえます。基準法、フラット35(利用の場合・住宅金融支援機構)検査、性能表示検査(建設評価を求める場合)、保険法人検査といったものです。最近ではこれに地盤調査の外注と調査結果の読み込み、保険加入の決定やコンクリート強度検査など、品質確保、性能確保のための検査が増加しています。このために独自の工事進捗チェックシートなどで工程ごとに写真撮影をしたり、納品書等の保存も必要になってきました。また、検査日程の調整や納品された部材チェックなども必須となります。さらに顧客満足度の持続性という観点からも施工状況報告を作成する、といったことも求められてきています。
 いずれにしろ、木造住宅の現場管理はそのチェックと記録という仕事が増加し、しかも実際に工事が開始されると、仕様変更が日々現場では発生したりします。その見積りと確認、そして発注、全体予算への影響、性能への影響検討といったルーティンをもこなしていかなくてはなりません。
 その意味で現場への管理時間を取るためには、書類仕事処理を夕方以降に行うことになり、長時間労働が続いているのが工務店の現場監督の実態です。これらをどう合理化していくのか、長時間労働からの解放の方途を考えることもマネジメントとしての課題です。