D.木造住宅の品質管理 11.竣工検査  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
1.竣工時のチェック

   引き渡しに当たって、現場監督自身で自主検査を行い、未完工事や不具合について記録します。その後、自社で使用しているチェックシートを用いて社内検査を行い、自主検査の指摘事項も含めて当該施工業者や補修業者に補修の手配をします。
 補修が完了し、クリーニングが終わった段階で、建て主に施主検査を依頼します。ここで、建て主が何を検査すべきかということを建て主自身が理解していることは稀ですので、どういった点をチェックしてほしいかあるいはするべきかといった提示を行い、チェック方法も伝えて自身で建物の仕上がり具合を体感・確認していただけるようお膳立てすることも建て主の納得度や満足度を向上させるためにも必要なことと考えます。
 そのためには、検査項目を列記し、指摘点をメモできるような、チェックシートを社内で検討し用意しておけるとよいでしょう。
 自主検査としては、自身でチェックできる範囲の不具合や未施工部分について把握しておく必要があります。そのことによって、他者からの指摘による確認と記録の手間や記録漏れといったミスが軽減でき、現場の把握不足が露呈するといった信頼感の低下も回避できます。
 工程管理のポイントは、施主検査は、原則としてクリーニングが完了し、引渡しができる状態で行うものとします。
 施工者管理の建築時から施主管理の引き渡し後へ移行するにあたって、傷や汚れの責任の所在が変化します。引渡し時にクリーニングが終わっていない状態であった場合、傷や汚れに関しての責任の所在があいまいになり、引き渡し後においても汚れの発覚について施工者の責任とされても抗弁できない状況になることは容易に想像できます。
 また、引き渡し後の工事を行わないようにするために、引き渡しの日程は、竣工検査から少なくとも1週間程度の猶予を持った工程を組むと、補修工事も含めて完了した状態での引き渡しができると思います。