A.木造住宅と現場管理 10.緊結金物・金物工法  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
14.接合部の構造方法を検討するにあたって



   以下の事項をよく踏まえた上で、接合部の構造方法を検討して下さい。
1.木造住宅の構造計画を考えること
 木造住宅の中には、耐力壁線の設定、上下階の耐力壁線の一致、壁や柱の直下率、床や小屋構面の剛性を全く考えないで設計・施工されているものが少なくありません。構造計画を第一に検討して下さい。自由な間取りを気取るあまり、高倍率の耐力壁だけを配置すると、壁のバランスが悪くなると共に、接合部の負担が大きくなります。
2.使用する金物の種類をまとめる
 告示第1460号表三に示す接合金物は10種類となります。これらの接合金物をある程度まとめることが可能だと思います。例えば、Zマーク表示金物の場合、かすがい、かど金物、山形プレートの計4種類を使用する各接合部については、土台の割裂を起こし難いかど金物(CP・T)、羽子板ボルト(SB)や短ざく金物(S)を要する接合部は、両引きタイプの羽子板パイプ(SB・P)とします。接合金物には、同等認定金物や性能認定金物もありますので、自社の金物仕様を整理しておくとよいでしょう。
3.金物を選択した手段を示し、図面に金物を明記する
建築確認や中間検査でのチェックがスムースに行えるようするためには、金物を選択した根拠として、告示に準じたか、N値計算を行ったか、または構造計算に基づいて選択したかの計算資料を作成しておきます。また、平面図面上に耐力壁の種類、金物の種類を示す柱・壁伏図を作成しておきます。
4.15kN以上の引き寄せ金物は出隅の柱に取り付くように
 金物の施工負担を軽減するための住宅設計も検討して下さい。上下階とも倍率2以上の耐力壁を出隅に配置すると、出隅の柱には15kNの引き寄せ金物を、基礎からのアンカーボルトと緊結しなければなりません。普通の住宅で出隅柱は4〜6箇所くらいかと思います。高倍率の耐力壁を多く配置すれば、出隅柱以外にも15kN以上の引き寄せ金物が必要となり、施工の負担に繋がります。
5.基礎工事に引き寄せ金物緊結用のアンカーボルト位置を確認する
 引き寄せ金物を緊結するアンカーボルト(M16)は、基礎工事の配筋時に、正確に設置しなければなりません。アンカーボルトの位置が少しずれた程度ならば、これを補正する金具も市販されていますが、全く入れ忘れてしまうと、基礎工事のやり直しに繋がる可能性もあり、手戻りに費やす余計な時間と費用が発生します。