A.木造住宅と現場管理 04.現場のリスク管理  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
2.施工リスク

   施主との認識の誤差が拡大していき、仕様変更を予算をはみ出しても予算内で行え、といったトラブルも大きなリスクです。さらに、工事代金の残金未払いのまま引き渡し直後にクレームによる未払い金の値引き要請といった問題もあります。全てが瑕疵保険で対応できる訳ではありません。こうしたクレームは現場進行中に何らかの感情的なもつれが原因となる人的トラブルのケースも多く、監督は施主との関係性構築とその持続が大切なリスク低減上での仕事となります。
 もう一つのリスク低減方法は、きちんとした請負契約約款での契約を行うこと。さらにその契約に基づいて作成された設計図書通りの施工であることをきちんと証明するための施工チェックの写真などを監督は整理しておくことが必要です。
 また、変更要望は必ずその場で応じるのではなく、会社に戻り、確認申請時の設計図書の変更に該当するか、予算の変化などを確認するとともに上司等にその変更要望に施工上の問題点がないか、といった形での二重チェックが大切です。
 さらに現場に実際に出入りする職人たちの把握も必要です。労災保険への加入の有無や事故時の連絡先などを施行計画書に事前記入するためにも、現場担当者も含めて協力業者名簿を作成しておくことが大切です。