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メアリーが先週夕食に招待した時に、特別なパスワードを教えてあるので、カールソンさんはボブと同じように、パスワードを使って玄関から入って来ることができた。
しかし、このパスワードは今晩だけのもので、小さい時からいつも来ているボブのものとは違っている。
カールソン夫妻に挨拶するため大広間から玄関にメアリーが向かうと、几帳面なこの家の『執事』はもう丁寧な挨拶を始めていた。
「ようこそザナドゥへ。カールソン御夫妻を歓迎します。私はこの家の執事で、今晩、あなた方のお役に立てることを光栄に思っています。すぐにご主人と奥様がいらっしゃいます。」
カールソンさんが、まだコンピュータ化された人工知能と音声合成に慣れていないことがわかったので、ジョンはハウスブレインにもう黙っているよう指示した。
これがザナドゥへの最初の訪問であるカールソンさんは、大広間の大きさとその有機的な雰囲気に驚く。
大きなオープンスペースを支えて、しかも冷暖房にも役立っている樹木に感心した後に、階段を上ってパリのシャンゼリゼの陽気な屋外カフェ風の音楽が流れるダイニングエリアに向かった。
テーブルの真ん中の蓋が開いて、そこから今夜の最初の料理が出されても、もうそんなにびっくりはしなかった。カールソン夫妻はとても楽しんだ。きっと忘れられない夜になるに違いない。