D.木造住宅の品質管理 14.施工品質チェック記録  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012
施工品質チェック記録 (せこうひんしつちぇっくきろく)
住宅の品質は設計段階での品質確保と、設計図書をもとに建設する施工段階での品質確保の二つによって、確保される。施工品質チェック記録は、施工プロセスの各段階において、施工品質をチェックして記録したものである。
工程記録写真 (こうていきろくしゃしん)
建物の性能に大きく関わる、基礎の鉄筋や、柱、梁など構造部分、断熱材の施工部分などは、建物ができあがってしまうと見ることができない。万が一不具合が出てきても、どのような状況になっていたか把握するのは難しい。そのため作業工程の中で、写真として記録しておくのが、この工程記録写真である。
検査確認写真 (けんさかくにんしゃしん)
施工品質チェックにおいて、コンベックスなどを当てた様子を撮影し記録しておくのが、この検査確認写真である。前もって撮影ポイントを定め、施工後に隠れる部分を含めた記録写真として保管することで、施工品質チェック記録をより確実なものとすることができる。
住宅履歴書 (じゅうたくりれきしょ)
住宅履歴書は、住まいのカルテでもあるとともに、住まいの履歴書でもある。病院が作成するカルテには、様々な検査データや投薬・措置などの記録がストックされていて、これらをもとに、健康の管理が行われる。同様に、住宅履歴書には、住宅の設計図書・施工写真・検査記録・維持保全改修履歴などがストックされていて、これらをもとに、住まいの健康を管理していくことができる。
可用性 (かようせい)
許可されたものが許可された条件内で資産を使用したいときに、その資産を使用できるようにすること。施工品質記録を含めた住宅履歴書を、電子ファイルとして保存しても、10年後、20年後に使用できるという保証はない。電子ファイルを読んで表示するためには、そのフォーマットに対応したソフトウエアがなければならない。PDFフォーマットを開発し、フォーマットの著作権所有者でもある米Adobe Systemsが、ISOに対して管理権を譲り渡したことから、ISO 32000-1となった。ISOが、PDFフォーマット仕様の出版や将来のバージョンへのアップデートに責任を持つこととなった。PDFフォーマットならば、10年後、20年後に使用できるという保証が得られたわけである。