D.木造住宅の品質管理 14.施工品質チェック記録  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012

(D141)
施工品質記録を取り保管する意義について教えてください。

品質記録を取り保管するのは、問題の早期発見や、是正による改善で再発防止に役立ちますが、さらに製造物責任(PL)問題や瑕疵担保責任の発生時に、管理が適切に行われていたことを証明するためにも必要です。問題発生時点で当事者が適切に説明(アカウンタビリティ)できる証拠能力のある記録にしておかなければならないからです。
建築では一般に瑕疵担保責任は、引き渡し後2年間でありましたが、住宅では平成12年の品質確保法により構造部分の欠陥や建物の雨漏りなどに関して、瑕疵担保責任が10年間となりました。この間に欠陥が発見された場合、住宅瑕疵担保責任保険などによって補償されますが、その申し込みには施工品質記録などを含めた施工報告書の提出が求められています。
さらに良質な住宅が長期にわたって使用されることを普及するため、住宅の建築及び維持保全に係る計画の認定などを行うため、平成21年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」によって、この法律により認定を受けた住宅については、住宅履歴情報としてその建築及び維持保全の状況に関する記録を作成し保存しなければならないこととなりました。
住宅履歴情報に関しては、ISO27001情報セキュリティーマネジメントに準拠して、記録の要件として、真正性、信頼性、可用性、完全性を求めています。
記録の電子的保存が一般的になっているので、紙による記録の保存と違って、書き換えられたものか、完全なものかもわからないし、また消えてしまうこともあります。さらに記録を読み出すために特定なアプリケーションソフトを必要とする場合、何10年後にもそのアプリケーションソフトが動かせるという保証はありません。そのため電子的記録ではISOで標準化された書式が必要となってきます。