C.木造住宅の工程管理 07.屋根・板金工事  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012

(C071)
図面をチェックしたところ、ルーフィングの納まりがよくわからない個所がありましたが、職人に任せて大丈夫でしょうか。

雨漏りについては、長期間の瑕疵担保義務が義務付けられた重要管理ポイントですので、図面上の不明点や疑問点については、まずは設計者に設計意図や納まりについて、確認を行います。
施工方法や指示があった場合、その指示で問題がないか検証し、問題がある場合には再度設計者に注意喚起を行います。自身で検証が行えないようであれば、上司や会社として責任を負えるかという検討をおこなう必要がります。
施工方法や納まりについて特に指示がなく、委任された場合は、当該部分の責任が施工者に委譲したことになりますので、施工方法や施工状態がわからないまま職人任せにすることは大変危険です。自身で自信を持った施工方法が提示できない場合は、上司や社内で責任を負える状態の納まりを検討し、設計者の承認を受けて、職人に的確に指示し、施工するという手続きを踏む必要があります。

(C072)
普通のアスファルトルーフィングを使用すると湿気が逃げず野地板を痛めるということを聞いたことがありますが、本当ですか。

室の断熱や防湿、気密、気温等の条件によって一概には言えませんが、野地板を痛めている事例があることは確かです。 屋根面の内外の気温差や湿気、断熱等の計画を適切に行い、適切な施工を行うことで解消可能と思われますが、対症療法的な方法として、粘着型のルーフィングを使用して、野地板とルーフィングの間に隙間を造らないことや透湿型のルーフィングを使用するということも考えられます。

(C073)
出隅や入隅のピンホールについてシーリングで埋めていますが問題ありませんか。

シーリングは、防水材料とされていますが、本来の使用方法は、表面に塗って防水性能を確保するものではなく、接着面がある二つの材の間に十分に充填され、密着・接着させてこそ効果が発揮されるものですので、薄いルーフィングの隙間や孔をふさぐ効果は期待できません。

(C074)
小屋裏の湿気で野地板が腐ると聞いたことがありますが、どのように対処するとよいでしょうか。

小屋裏の換気が良好でない場合、野地板と防水紙の間に隙間があると、小屋裏の湿気が野地板を通り抜けたものの防水紙で遮断され、結露し、野地板を腐食させる例も見られますので、隙間が空かないように、粘着性のある防水紙を使用することも考慮します。また、小屋裏の換気を十分に確保することも重要です。

(C075)
屋根勾配が緩い場合の屋根下地はどのようにしたら良いですか。

屋根勾配が緩い場合は、浸入した雨水の流れが遅くなったり、わずかなしわで堰き止められたりするため、屋根面に滞留して、重ね部分から毛細管現象等により吸い上げられる可能性が高まります。対応策として、ある程度の吸い上がりがあっても、防水紙の無い面までいかないよう、通常より重ね幅を大きくする方法があります。
 勾配がごく緩い場合は、重ね幅を防水紙幅の1/2とすることもあります。

(C076)
縦ハゼ葺の最低勾配である1寸を切る勾配の設計がなされていますが施工可能でしょうか。

原則として屋根葺き材で示されている最低勾配を割り込むものは雨漏りの危険性があるため、施工しないに越したことはありません。
どうしても施工せざるを得ない場合は、ルーフィングを粘着性のものとし、1/2以上ラップさせ(2重張り)、吊り子を取り付ける位置にシーリングを盛って吊り子下面の吸水を遮断し、取り付けた釘頭にもシーリングを施します。
縦ハゼ部分は、立ち上がりを通常よりも高く(30mm程度から勾配が緩いほど高くします)とり、巻きハゼの接合面に両面接着の防水テープを張り、つかみ込むことでハゼ内部が接着され、吊り子の厚みによる隙間がつぶれるようにします。外壁等に絡む部分についても立ち上がりを通常よりも高く設定し、軒先の唐草が屋根面より高くならないよう加工しておくなどの方策を行えば、可能と思われます。
いずれにしても、施工方法と雨漏りに対する責任について社内での検討と確認をおこなう必要があります。

(C077)
金属屋根の注意点は何でしょうか

納品された材料の品質と数量を確認します。亜鉛鉄板とステンレス430など、留めつけの釘と板金の電触反応を引き起こさない組み合わせか確認します。雪止めの有無と取り付け方法を確認します。
メーカーで加工されたものに関しては、メーカーの施工要領を順守して施工します。
施工にあたって、板金の防錆被膜を傷つけないよう注意して施工を行います。

(C078)
瓦桟をルーフィングの上に直付けしてしまうと、屋根材の裏に回ってしまった雨水が流れない気がしますが問題ないでしょうか。

ルーフィングは、屋根葺き材で防ぎきれなかった水が屋根材の裏に回った際に、小屋裏等に入れないように防ぎ、排出するように張ります。よって、瓦桟をルーフィングに密着して取り付けてしまうと、その部分で水がせき止められ、防水上、排出の効果が得られなくなります。
よって、ルーフィング側に切り込みの入った桟木や、凸型のついたルーフィング、瓦桟下スペーサーを使うなど、水の排出に配慮した施工を行うことを考慮します。

(C079)
瓦の施工に関して基準はありますか

建築基準法に基づく構造計算を行わない場合の仕様規定(施行令第39条第2項)に規定されています。また、構造計算の規定で示された性能を有しているとする施工方法のガイドライン「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」(社)全日本瓦工事事業連盟刊も提示されていますので、参考になると思います。