C.木造住宅の工程管理 03.基礎工事  SAREX 住環境価値向上事業協同組合(C)2012

(C031)
普段バックホウのことをユンボと呼んでいますが、どの呼び方が正しいのでしょう。

日本では行政用語として、アームの先端にオペレーター側に向けたバケットを取り付けたものを「バックホウ(バックホー)」と呼んでいます。ユンボというのは、フランスのシカム(現ユンボ)社の製品名で通称としてよく使用されています。また、パワーショベルという言い方もありますが、これは、小松製作所(現コマツ)の商品名が一般化したものです。(社)日本建設機械工業会では、アームの先端を付け替えて使用する機械の総称を油圧ショベルとしています。

(C032)
掘削中に地下埋設物が出てきてしましました。どのような対応をするとよいでしょう。

埋設物が、旧建物の杭や遺跡など、手続きや費用が掛かることが予想され、その場で対処できない場合は、まず、当該部分の写真を撮影し、状況の記録を行います。次に工事責任者、建て主に地下埋設物が出た旨の報告を行い、対応方法の検討・対処費用の算出を行う旨了解を得ます。その後、工事責任者と建て主、関係者立ち会いのもとに費用と工期の折衝を行い、決定した方法により撤去や補修などを行います。

(C033)
掘削しすぎてしまった場合は、どうすればよいですか。

砕石厚含めて30cm以下の場合、砕石敷きの際に掘削しすぎた分まで砕石を入れ十分な転圧を行います。掘削した土で元通りに埋め戻すことは、管理が難しいため避けた方がよいでしょう。

(C034)
砕石は必要なものですか

砕石は、根切り工事で発生した地盤の緩みを緩和したり基礎と地盤のなじみをよくしたり、捨てコンクリートの下地とするものですので、地盤自体が砕石様であったり、地盤(表層)改良によって硬化している場合は、特に敷き込む必要はありません。

(C035)
防湿シートが破けてしまった場合は、どのように補修するとよいですか

やぶれが小さい場合は防湿テープを張ってふさぎます。大きな範囲で敗れてしまった場合は、重ね幅150mm以上が確保できる形で防湿シートを増し張りします。部分的な増し張りは、シートがずれる可能性がありますので、端部を防湿テープなどで固定するとよいでしょう。

(C036)
地盤改良杭の場合杭頭と基礎の間に基礎コンクリートより圧縮強度の低い捨てコンクリートが介在することに問題はないですか。

地盤改良杭の杭自体の圧縮強度は、メーカーによりセメントの混入量の違い等による差がありますが、およそ1N/mm2未満程度であり、捨てコンクリートより圧縮強度が十分小さいため、捨てコンクリートの強度で充分荷重を伝達することができますので、特に問題はありません。

(C037)
予算削減のため捨てコンクリートを使用しない施工をしても問題はないでしょうか。

法律上、仕様上は、特に規定がないため、捨てコンクリートを設置する必要はありません。もともと硬質な地盤であったり表層改良等を行って、基礎接地面が硬化していたりする場合は、砕石を入れて振動を与えることにより逆効果になることもあります。
捨てコンクリートを入れない場合の問題点として、作業のために鉄筋上を歩行することでスペーサーのめり込みによるかぶり厚不足が起きたり、墨が打てないことによる施工精度の低下が起きたりすること考えられます。少なくとも基礎の立ち上がり部分に関しては、上部構造を構成する際の精度にも関わりますので、捨てコンクリートの施工は推奨します。
また、設計上設定されている捨てコンクリートを施工者側の判断で削除することは、契約違反となりますので、施工しない場合は、その理由の説明を行い、監理者や施主の了解を得る必要があります。

(C038)
設計図書に設計かぶり厚70mmと書いてある場合、60mmのかぶり厚でよいのでしょうか。

設計かぶり厚とは、施工誤差や鉄筋の歪み等を考慮して60mmが確保できるように設定されているものですので、60mmが確保されていれば問題ありません。JASS5

(C039)
コンクリート打設前の組みあがった鉄筋に錆が浮いてしまいましたが、問題ないでしょうか。

鉄筋のさびは、鉄の酸化によって引き起こされます。それに対して、コンクリートは、強アルカリ性の性質を持っていますので、鉄筋の表面に浮いた錆については、コンクリートを打設することによって錆びなくなりますので問題ありません。ただし、異形鉄筋の形状が変わってしまう程度の浮き錆は、コンクリートの付着を阻害しますので、ワイヤブラシ等で除去するか鉄筋の交換が必要です。

(C0310)
基礎の仕様上、鉄筋のピッチは300mm以下とされていますが、300mmとしてはいけないのでしょうか。

300mmピッチの配筋を行った基礎を許容応力度等の構造計算で確認すると、耐力不足となる場合があります。よって、仕様上の最低基準ではなく、余力を考慮した配筋を行うことが安全です。一方で、設計図書に200mmピッチ等の記載がある場合は、仕様上300mmでよいとされていても、契約上200mmピッチにするという約束になっていますので設計図書に合わせる必要があります。
逆に、設計図書に300mmピッチと記載がある場合、建物の瑕疵に責任を持つ施工者としての立場で、構造上耐力不足になる可能性がある旨設計者に再度検討を促し、判断が変わらない場合、注意喚起を行った旨記録に残します。

(C0311)
基礎開口部の補強は、提示されている方法でなければいけませんか。

構造計算等により安全が確認されていれば、ここで提示した補強方法に従わなくても問題ありません。

(C0312)
アンカーボルトがずれてしまった場合はどのようにするとよいですか。

ケミカルアンカー等で正しい位置に増し打ちするなどします。
ホールダウン金物用のアンカーボルトについては、基礎立ち上がり幅に設置した場合、ケミカルアンカーでは、十分な引き抜き耐力が発揮されないことがありますので、施工精度が確保できる状態でも15kN程度と考えます。
1本で不足する場合は、2本設けるなどの対応をします。

(C0313)
工期がなく、雨中打設を行ないたいのですが可能ですか。

技術的には、可能と考えます。ただし、準備から打設完了、その後の確認まで管理者が作業の手順を十分把握し、細心の注意を払って、全行程立ち合いができる場合に限って可能だと思います。通常は打設を延期すべきで、お勧めはしません。
施工方法の参考例として提示します。
@底盤やフーチングにたまっている水をゴムへら等で排出し、打設初めの部分にシート等を大きく、雨水が基礎外へ排出されるよう勾配をとってかぶせ、打設範囲に雨が直接当たらないようにします。
A型枠内の打継部分にたまっている水をブロアー等で排出し、排出された部分から、シートの下に入って打設を始めます。
B底盤やフーチングにたまった水も打設したコンクリートのセメント分を流出させますので、その部分も雨水がかからないよう、溜まらないよう順次十分な養生が必要です。
C上記作業を順に繰り返し、最終的に基礎全体がシートで覆われ、雨水が浸入しない形に養生します。

(C0314)
脱型したところ、ジャンかが発生していましたどのように補修すればよいでしょうか。

鉄筋が露出する程度であれば、不良部分を取り除いたのち、型枠を取り付け、コンクリートの打設を行います。軽微なものであれば、モルタル充填等で補修します。

(C0315)
コンクリートの効果に水が必要とのことですが、打設時に多めの水をコンクリートに入れてはいけないのでしょうか。

コンクリートの硬化に、必要かつ十分な水の量があります。それを超えて水が混入すると、硬化に不要な水の分の体積が減少しますので、クラックが発生しやすくなります。 脱型後の基礎が乾燥状態になっている場合には、水を流し込むなどの冠水養生等は効果がありますが、打設中の加水は厳禁です。