Smart Houses
スマート・ハウス



1987年4月、最初のスマートハウスの建設が始められた。この住宅とともに、情報化時代の最後に残された未開拓分野の一つが、切り開かれ始めたわけである。

1990年代には、半導体、コンピュータ部品、通信機器、テレビ、ビデオカセットレコーダー、そしてさらに進んだエレクトロニクス機器が、住宅の配線に取り付けられるようになってくるに違いない。そして全く新しい配線システムと新しい機器には、”チップ”が組み込まれることになるだろう。

家電製品にも半導体チップが組み込まれ、配線ネットワークと、そして機器相互に、また外部の世界とコミュニケーションができるようになるだろう。

住宅は電気やガスを使っているほとんど全てのものがネットワーク化されるようになり、いまよりもっとスマートになるはずだ。



● スマートハウスのシナリオ


あなたが起床する30分前に、給湯器にスイッチが入りシャワーを使う時間までには、ちょうどよい温度になるようになっている。ラジオの目覚し音と合わせ、寝室とシャワールームの照明がつけられる。

部屋は暖められコーヒーはシャワーしている間に仕上がっており、シャワーが終わった時、ポットいっぱいのコーヒーが迎えてくれる。そしてテレビからは好きなニュースショーが流される。

日中、外部が暖かくなる場合、もしだれかが家に居るならば、エアコンは室内が快適になるよう保たれるが、電力代が高い時ならば、午後のピークの2時間だけ運転は休止される。

前もって夜に食器が入れられた食器洗い器は早朝運転される。外出している間、セキュリティーシステムはずっと見張りをしている。

帰宅して着替えをしている間に、留守中録音された電話のメッセージが再生され寝室のスピーカーから流される。ビデオスクリーンに光のサインで電子レンジの中の夕食が準備できたことを知らせてくれる。

夕闇が迫ってくる頃には、外灯がつけられ庭のスプリンクラーがベゴニアに散水する。そしてテレビのイブニングニュースのコマーシャルの間に、スクリーンに表示されたその日のエネルギー消費量とコストを見ることになる。

就寝する前にスクリーンには全ての外部ドアと鍵のチェック状況が示される。スイッチが入れられた機器の内、不要な機器全てのスイッチが消され、枕元の読書灯も弱く落とされる。夜中に牛乳を飲もうとベッドから歩き始めると、部屋につけられたセンサーがホールやキッチンの明りを自動的につけてくれる。




● スパゲティーボールのような住宅の配線


トーマス・エジソンの時以来、住宅の配線で行われてきたことは、壁の中をくねくねと多くの配線を走らせるといったもので基本的には変わっていない。

そしてますます多くの多様な機器がつけられるようになり、その結果、壁の両面にはとどまりのないからんだスパゲティーといったものになってしまっている。

スマートハウスの実現によって、現代技術のいくつかのシーズは、こうした問題を解決できる分野に確実に入ってくるに違いない。

数種類の配線を一つにまとめたケーブルに置き換えられるだろう。それらにはTVの同軸ケーブルも含まれるし、電源の配線、電話や他の低電圧機器のための配線、さらにデジタル信号の搬送線も含まれる。このケーブルは住宅の新築の際に敷設されることになる。



さまざまな機器に対応できるユニバーサル・アウトレットが住宅全体に設置されることになるだろう。機器のスイッチが入ったり使用開始された時、住宅の配線システムの半導体チップが、機器に搭載されている半導体チップと通信し適切な回路に接続してくれる。




● スマートハウスの機能


(1)機器のプラグが差し込まれると、その機器が受けるべき適格な電流を配線ネットワークに識別させる。機器や装置とネットワークとの間のコミュニケーションは、ネットワークに設置されたチップと通信可能な、機器に組み込まれたチップによって実現される。

(2)スマートハウスでは、バスルームの洗面器に偶然ヘアドライヤーが落ちても、瞬間的に電流は止められる。

(3)ステレオのスピーカーは、音声用の配線を新たにつけ加えることなく、スマートハウスのいずれかのアウトレットに直接差し込むことができる。

(4)スマートハウスの機器は、ここのどのようなアウトレットにも差し込むことができる。

(5)スマートハウスは、人が部屋を出た時に明りを消して、戻ってきた時につけるといったことを教えることができる

(6)スマートハウスシステムは、いくつかのビデオディスプレイを便利な場所で使うことができる。そしてこれらを通じて機器や装置のモニターが可能である。


(7)家中に設置されたセンサーは、侵入者があった時に、警報を発することができる。

(8)家の中のあるセンサーは煙や火災を感知することができる。また同じセンサーを冷暖房の調節のために使うことができる。


(9)スマートハウスの全てのシステムが、外部から電話による命令で作動させたり、コントロールしたりすることができる。

(10)システムに接続された全ての機器と装置は、スイッチや他のコントロール機器から指示を与えることができる。




Last modified: Fri January 9 18:50:00 JST 1998
(c) Dr.Shigeaki Iwashita

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