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1988年からミサワホームはホームロボットの開発に取り組んできている。しかしこれまで開発されたロボットは、多くの人がイメージするような、家の中を歩き回る「お手伝いさんロボット」とは違っている。
もちろん開発プログラムには、こうしたロボットも入ってはいる。実用性という点から固定型のものから開発を始めたわけである。この動かないロボットどうみても単なる装置にしか過ぎない。しかしミサワホームはロボットと呼ぶことによって、親しみやすさと賢さを期待したわけである。
ミサワホームによるとホームロボットは、住宅内の様々な設備・部位のコントロール、家事の代行など、住む人が快適で、楽しく暮らせるようにしてくれるものであるとされている。
これまでに次のようなロボットが開発されているが、残念ながら1992年以降はほとんど開発は進んでいない。
(1989年) バスロボット、キッチンロボット
(1990年) シアターカウチロボ、瞑想ロボ
(1991年) だんだんお目覚めシアターベッド
パーティーロボ、ミュージックチェア、座禅椅子
(1992年) トロピカル ウェーブ
これまで開発されたロボット
バスタブ、シャワールーム、トイレがコンパクトに組み込まれたカプセル・バスで光、風、音、香りをおくる天井が特徴で、単に身体を洗うだけでなく、心と身体をリフレッシュすることができる。
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食器を入れたままで洗浄から乾燥までできる後片付けロボット、収納ロボット、栽培ロボット、照明ロボットなどが組み込まれている。グルメビジョンからは和洋中華フランス料理など300種類を超えるメニューの料理方法、材料の選定、カロリー計算などを行ってくれる。
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自動リクライニング装置とAVスクリーンが装備されたベッド。目覚めの時、自動的にベッドが起きあがり、より自然な起床ができる。AVスクリーンは電動で出し入れができ、寝ながらなどTV、ビデオが一番楽な姿勢で楽しめる。
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グルメ志向やパーティーの普及に対応し、人工知能や音声認識、超音波などの先端技術を駆使して、様々なスタイルの食事、パーティーを演出できるロボット。
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迫力のあるホームシアターを楽しむことができるロボットで、カウチは電動で好みのシアターポジションに移動できる。照明、空調、AV機器のコントロールもカウチのコンソールボックスに装備されている。
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パーソナルサラウンドとリラックスできる無段階リクライニングチェアにボディーソニックが装備されているミュージックチェア。人工波動装置をつけたアクアリウム。
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その頃になると工場や現場だけでなく、住まいの中にもロボットがやってくるのだろうか。住宅に入ってくるロボットとしては、今のところペット・ロボットとお手伝いさんロボットが有望である。
ペットは高齢者の生活に潤いを与えてくれる。単身の老人世帯では、ペットが話し相手になってくれるし、老夫婦世帯では二人のコミュニケーションの橋渡しをしてくれる。
しかしペットは世話が大変であるばかりでなく、高齢者にとって身近なペットの死は、自分自身を死を連想させる。この点ペット・ロボットは、長生きであるし、主人の体調に合わせて散歩の時間を調整することも可能である。
またお手伝いさんロボットは、外から帰った時、ちゃんとドアを開けてくれるし、必要ならばスリッパも出してくれる。テレビを見ている時に、ビールが飲みたくなったら、冷蔵庫からビールを持ってきて、コップに注いでくれる。
こうした家庭用のロボットのはしりは、1984年頃流行ったエンターティメント・ロボットである。ただ歩き回るだけであるが、しゃべることもできた。バッテリーが切れてくると、自分でコンセントのある場所に行って充電するといった優れものもいた。
わが国にも何台か輸入されたが、狭い日本の住宅ではロボットが自由気ままに動き回れるスペースがなく、パーティーなどの際の役には立たなかった。
ロボットの語源はチェコ語のrobota(働く)であるが、1923年チェコの作家チャペックが、「人造人間」の中で、技術の発展した悲観的な未来の象徴としてロボットが描かれたことから始まる。
ロボットは機械と違って、知能を持っており、さらに感覚機能を持っている。さらに機械と違ってわれわれにとって親しみの持てる存在であってほしい。
住宅をすべて自動化し、すべての部品がインテリジェント・オブジェクトになれば、たとえば「窓を開けたいな」と窓を見るとこちらの意志を察知して自動的に窓が開くなどといったことも遠い将来は可能であろう。
しかしこのような自動化された住宅の中に住むよりは、歩いていって窓を開けてくれるロボットと一緒に住む方が楽しそうである。