08 ジャライ族の御霊屋(Giarai Tomb)  
     
  ジャライ族は、オーストロネシア語系に属し、人口約41万(2009年)、母系制で、大多数が中部高原(Tây Nguyên)のジャライ(Gia Lai)省に、一部がコントゥム省西部、ダクラク省北部に居住している。
ジャライ族の葬儀の習慣では、御霊屋を建て、“Lễ bỏ mả”と呼ばれる儀式が行われる。“bỏ” は“放棄する”、“mả”はお墓の意味で、家族などが二度と御霊屋にお参りに訪れることをしないという意味である。綺麗に保つために手入れなどもしないため、年月と共に壊れていく。 この御霊屋は、ジャライ省のMrong Ngo村に住む5人のジャライ族の男性によって1998年に造られた。30人の死者をこのような御霊屋に埋葬することができる規模である。ジャライ族は女系をたどる母系社会なので、それらのほとんどは母親との関係者である。
周りを取り囲む木像は二つの世界のつながりの象徴で、妊娠中の女性と自分の秘部を自慢して見せる男性や女性の像は、受胎能力や出生など生命力を象徴している。斧、彫刻刀、ナイフを使って木の幹から彫られている。屋根は編まれた竹の板で覆われており、その上には天然の赤い顔料が塗られている。屋根の上の装飾は、儀式(Lễ bỏ mả)の様子が描かれている。
内部には、壊れた皿、瓶、カップ、トレイ、そして木製の道具模型など、あの世で使うための食器や生活用具が置かれている。